
■『別冊 太陽 田中一村』(監修大矢鞆音、2019、平凡社)
また、田中一村に関する秀逸な雑誌特集が出た。
監修は田中一村作品研究の第一人者で美術評論家の大矢鞆音氏(元NHK出版美術部長)。昨年の『評伝 田中一村』に続くヒット作である。
冒頭に、一村研究で著名な小林忠氏(現、岡田美術館館長)が「「閻魔大王への土産」田中一村画の頂点」と題して巻頭言を寄せ、続いて一村の死の直前に一村を訪ねている田辺周一氏(写真家)が「一九九七年の一村邸訪問」を画像と共に寄せ、「一村のクッキャール」(梯 久美子氏)、「戦前・戦後の千葉寺風景」(福田道宏氏)などの「COLUMN」や大矢氏と親族の新山宏氏の対談「伯父・一村と過した日々を見つめて」が続く。さらに一村を知る、あるいはゆかりの、あるいは一村作品を所蔵する美術館の学芸員の人たちによる「ESSAY」など、『太陽』らしい内容豊かなものである。

栃木時代~東京時代(1908-1937) 神童・米邨の誕生(0~29歳) |
千葉時代(1938-1957) 「新しい日本画」を求めて(30~49歳) |
奄美時代(1958-1977) 運命の地への旅立ち(50~69歳) |