蔵の街とちぎ 大毘盧遮那殿 満福寺(満福密寺)

閑話休題

スマホ依存症(心と頭の糖尿病)の良薬は俳句・短歌・読書

令和元年7月25日
 7月20日の下野新聞投書欄「読者登場」に、次のようないい記事が載っていました。
◇情報化が進んでいる今、若者のインターネット依存が問題視されています。インターネットは簡単にアクセスできるため、誰でも容易に情報を得ることができます。
◇しかし、いつでも使用することができるので、依存しやすくなってしまいます。身近にあるスマホではゲームもできます。オンライン通信でゲームをすることによって、睡眠不足やストレス、集中力の欠如など多くの問題が起ります。
◇ネット依存の対策は必ず行われなければなりません。私は使用時間を決めるべきだと思います。自分たちの意志でできるので、一人一人が対策をとることが大切です。そして正しいネットの使い方をこれからの世代に伝えていくべきです。
(栃木市、高校3年生)
 昨年の新年大護摩供法要のあと、新年のご挨拶のなかで、中学を卒業するまではスマホの禁止をお勧めしましたが、スマホ依存症は「心と頭の糖尿病」と言われる、治るのが難しい病気。栃木市の高校3年生がデジタル技術文明や高度情報化社会を生きる上での自覚を、ちゃんと持ち具えているのを発見しうれしくなりました。

 中高生の皆さん、ラインや携帯メールの「短文」は皆さんの脳の働きや考え方を単純化し、言葉づかいを単純化し、言葉のボキャブラリーは増えず、モノの言い方や表現を貧しくし、心や性格を軽薄短小にし、皆さんの精神発達を阻害し、難しいことや面倒なことに耐えられない人間になってしまいます。
 同じ「短文」をやるなら俳句や短歌をやってみてください。同じ「短文」でも、俳句や短歌には日本語のふくよかな表現が凝縮されています。ラインや携帯メールと逆です。
 どうか一日に最低1時間、本を読んでください。日本の文学作品をかたっぱしから読むのも方法でしょう。声を出して本を読む「素読」をお勧めします。本を読んで、日本語のふくよかさを味わってください。人としての豊かさを養う早道です。

 現代日本を代表する知の巨人松岡正剛さん(編集工学研究所)は、デジタル通信技術に早くから取り組んだ人ですが、今もそれを駆使しながら一方では本と読書の重要性を説き、『多読術』『本から本へ』といった本を出しています。

― 身近では芦田愛菜さんの『まなの本棚』、本格的には松岡さんの『千夜千冊』シリーズがお勧めです。 ―