蔵の街とちぎ 大毘盧遮那殿 満福寺(満福密寺)

閑話休題

敬礼三宝 謹賀新年

令和6年01月01日
新年明けましておめでとうございます。
 令和六年。
 西暦二〇二四年。
 干支(えと)は、辰(たつ)年。
  ※辰には、神話の動物の「竜(りゅう)」があてられ、登り竜や上り相場と言われ、開運招輻・景気上昇が期待される。西洋ではドラゴン。
 恵方(歳神様の方位)は、東の少し北よりの方角。
辰年生まれの人は、 長所 威勢がよく生一本、テキパキしている、邪念なく正直、勇気あり、ひとを思う心も厚い。
短所 短気、負けずぎらい、直情的で感情に走りやすい。
運気 涙もろくて損をする。はじめ孤立・孤独があるが、中年の金運よし。晩年もよし。トップの補佐役として成功する。
守り本尊 普賢菩薩(ふげんぼさつ)。
ご真言 オン サンマヤ サトヴァン。
初詣の人出で毎年のようにトップ3に名を列ねる成田山(成田市)・川崎大師(川崎市)・伏見稲荷(京都市)。この二寺一社はそろって弘法大師にゆかりの深い寺社です。成田山は、檀信徒の皆さまもよくご存知の成田のお不動さまで、当山と同じ宗派の真言宗智山派。私ども宗派の大本山。川崎大師は、大師とは弘法大師のことで、ご本尊が弘法大師です。この宗派も当山と同じ真言宗智山派で宗派の大本山です。二寺とも真言宗ですから弘法大師を開祖とするお寺です。
伏見稲荷は、もともと愛染寺という真言宗のお寺に祀られていたダキニ天(仏教でいう稲荷神)を本願所とする稲荷社でした。愛染寺は、弘法大師が建てた京都の東寺直属のお寺で、その東寺の五重塔を建てる際に、愛染寺のあった稲荷山から木材が提供されました。その協力によって、天長四年(八二四)淳和天皇から正五位下の神階を授かり、以後上進して天慶五年(九四二)に正一位になりました。以来全国各地のお稲荷さんは「正一位稲荷大明神」と尊称されています。
伏見稲荷の稲荷神も弘法大師と縁が深く、伝説によれば、東寺を建設中の弘法大師のところに、数年前に紀州(和歌山県)の田辺で出会った異常な姿の大男の老人(稲荷神の化身)が稲ワラをかついでたずねてきたので、弘法大師はその老人(稲荷神の化身)と連れの婦人・子供を近くの館で手厚くもてなし、しばらくしてその老人=稲荷神に伏見愛染寺の稲荷社に鎮座していただいた、これが伏見稲荷の起りだと言われています。
以上のように、成田山・川崎大師・伏見稲荷それぞれに弘法大師とゆかりの深い寺社で、日本人の多くが初詣を通じ、弘法大師のご利益に浴していると言っても過言ではないでしょう。弘法大師は平安京の昔、嵯峨天皇から託された東寺を国家安泰を祈る密教のお寺に建て替え、毎年正月八日から十四日まで七日間、鎮護国家・万民豊楽を祈りました。それが今も行われている「後七日御修法」(ごしちにちのみしゅほ)です。当山もこの弘法大師の「現世利益」の教えを受け継ぎ、開運厄除の「大師堂」に弘法大師をお祀りし、新年大護摩祈願を行っているところです。
時に、新しい年を迎えたというのに、日本の政界には暗雲がたれこめています。災いは忘れた頃にやってくるではありませんが、またぞろ政治とカネの政治スキャンダル。それも政権を担う自民党の最大派閥、権力中の権力の安倍派。亡くなった安倍元総理をはじめ、ここのところ何人もの総理大臣を輩出した旧福田派を直撃しています。一方、政権基盤をその安倍派に支えられた岸田総理も岸田総理で、とっくに国民の信を失い政権末期の状態です。自民党の政治と金の不祥事もあきれるばかりですが、岸田総理の総理大臣としての器量のなさも目をおおうばかりで、日本の政党も総理大臣もずいぶん劣化したものです。
人間劣化と言えば、私たちは、第二次世界大戦でのヒットラーのユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)やトルーマン米大統領のヒロシマ・ナガサキへの原爆投下で、戦争のムゴさと人間の愚かさをつくづく知ったはずでしたが、「過ちは繰返ししませぬから」どころではなく、頭にすぐに浮ぶだけでも、コンゴ紛争、ベトナム戦争、カンボジア内戦、ルワンダ内戦、、ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、ナゴルノ・カラバフ戦争、シリア内戦、そこにウクライナ紛争でのロシアによる大量虐殺・子供拉致、イスラエル対ハマスの殺し合いにおけるガザ地区での死者数を見るにつけ、人間はこりない生き物、歴史と共に進歩・進化するのではなく逆に退歩・劣化の道をたどっているようです。
目を転じれば、プーチン・習近平・金正恩・アサドなどの独裁者も、フランス革命が勝ち取った自由・民権、独裁体制からの人々の解放といった近代政治を逆流させ、国家の政治体制を中世に戻した政治劣化。岸田総理も無能という意味の政治資質劣化。またぞろ政治とカネの問題が露呈した、こりない自民党の政党劣化。暮の渋谷で酔いつぶれて路上に寝そべる青年酔っ払い劣化。白昼堂々貴金属店を襲い一目散に走って逃げる十九・二十の成長劣化。まもなくまた見ることになる幼い今の新成人の未熟人格劣化。政治指導者から市民に至るまで人間劣化の証例ばかりです。
でもたまには進化した青年がいたもので、アメリカの大リーグでスーパースターになった大谷翔平。彼の野球のレベルもさることながら、アメリカ人を納得させている彼の人間性や日本的なマナー・人柄・品性。実力とお金次第の世界でラフ・マナーでよかった大リーガーが、大谷の日本的な礼儀正しい自制的なジェントルマンシップに納得しています。
日本の若者の皆さん、「大谷へのあこがれは捨てましょう。あこがれずに良い目標・良い刺激にしましょう。彼のように、まず自分自身をみがきましょう。自分に厳しくして、ヒューマン(人間性)とスキル(仕事・技術・教養・文化度)を高めることです。そして彼のようにお金があとからついてくる人になりましょう。今の自分をこぼす前に今の生活をこぼす前に、大谷を一つの手本にしてやるべきことはいっぱいあります。今年の暮には、少し進歩・進化した自分を見つけてください」。